心理学用語
ここでは、教育心理だけでなく幅広く、心理学に関する用語を紹介していきます。公務員試験・教採に役に立つ(?)
アドラー・・・フロイトの影響を受け、その協力者。性を重視したフロイト説に対して「権力への意志」を人間活動の中心にすえ個人心理学を樹立。子どもの人生の出発点における無力感は、@不適当な扱いをうけて不幸な環境に成育するとき、A器官劣等性による劣等感のもとに成育するとき、強化される、と主張した。
イタール・・・聴覚疾患の研究をすすめ、その治療の教育的方法について研究。「アヴェロンの野生児」ヴィクトール君の精神医学的教育の研究に従事。
ウェクスラー・・・成人用知能検査、児童用知能検査で知られる。ウェクスラー・ベルビュー法改訂WAIS知能診断検査法(成人用)、WISC知能診断検査法(児童用)がある。WPPSIは同じく幼児用である。
ウェルトハイマー・・・ゲシュタルト心理学創始者の1人。精神現象を要素に分けて説明していた従来の心理学の学説に反対し、見かけの運動(仮現運動)に関する実験結果を「運動視についての実験研究」(1912)で著して、ケーラーやコフカとともにゲシュタルト心理学説樹立の祖といわれている。
ヴント・・・筋肉運動と感覚の生理学の研究をし、のちに心理学研究にむかい、「生理学的心理学」を公にした。ライプチッヒ大学に世界最初の心理学実験室を創設し、実験心理学研究の中心をなした。学問を自然科学と精神科学に2分し、前者を間接経験の学、後者を直接経験の学とし、心理学は後者であるとした。
エビングハウス・・・無意味綴を用いて記憶の保持に関する量的測定の実験を行い、記銘したことが、時間がたつにつれてどのように忘却されていくかを曲線で示した。これはエビングハウスの忘却曲線と称される。
オルポート・・・主著「人間の形成」(1937)、「人格心理学」(1961)、「社会心理学史」(1954)等のタイトルに象徴される如く、パーソナリティーの社会的側面に着目したパーソナリティー理論や社会心理学の分野で活躍。
カナ−・・・アメリカ精神医学の始祖(父)と称され、児童精神医学領域研究の草分けの1人として活躍。「児童精神医学」(1935)を著した。これは児童精神医学臨床研究の集大成であり、世界最初の専門的な教科書といわれている。のちに「早期幼児自閉症」というカテゴリーを立てた。彼の学説は、小児自閉症の基本的症状に関する多くの指摘を提示し、数多くの小児自閉症論展開を生起させた。
キャッテル・・・差異心理学に関心をもち、反応時間と個人差の問題を研究した。教育測定の先駆者。メンタル・テストをはじめ、また品等法を最初に考案した。
ギルフォード・・・因子分析的に知能、創造性、性格の研究をした。心理学的測定、心理学的テスト、パーソナリティー分析の研究で知られ、知性の立体モデルを提唱。矢田部ギルフォード性格検査(Y-G検査)とは、ギルフォードのものを矢田部が日本に応用させたものである。知能を内容・操作・所産の3つのカテゴリーに分けた知能の立方体模型を考案。
クレッチマー・・・精神症状と人格との関係に関心を深め、人格の構造分析と多次元診断の方法により、妄想反応の形成過程を解明する。ついで、「体格と性格ー体質の問題および気質の学説によせる研究」(1922)を公刊。
クレペリン・・・現代精神医学の建立者。「精神医学の摘要」(1883)を著し、以後9回改訂されつづけられた「教科書」のもととなる。フロイトを中心にした深層心理学研究には否定的態度を示し、実験的心理学研究に関心を示し、精神作業テストとして有名なクレペリン精神作業検査を創案した。
ゲゼル・・・医学博士の学位をも取得した小児科医兼発達心理学者。主著に「オオカミに育てられた子」があり、インドのオオカミに育てられた子ども(アマラとカマラ)に対する客観的で精密な行動観察記録・分析で有名。この観察に際してシング牧師の尽力のあったことも留意しておかねばならない。
ケーラー・・・ゲシュタルト心理学の創始者の一人。ソーンダイクの学習理論(試行錯誤説)に反対し、類人猿を用いた知恵実験による課題解決過程の観察から、動物の行動は洞察にもとづくことを強調した。
コフカ・・・ゲシュタルト心理学の創始者の一人。発達にゲシュタルトの立場を導入し、心理現象をゲシュタルト心理学の立場から総括した「ゲシュタルト心理学の原理」(1935)を著した。
ジェームズ・・・心理学者であり、プラグマティズムすなわち実用主義の思想をひらく。絶対主義・一元論・主知主義に反対し、相対主義・多元論・反主知主義をとり、経験主義の立場を貫徹している。機能主義的心理学をなし、アメリカ心理学研究の基礎をつくった。主著には「宗教経験の諸相」がある。
シュテルン・・・心的発達は遺伝と環境との相互作用によるという輻輳説を主張。また、個人差、性差、民族差などその差異に着目、その差異の生じた原因などを研究する差異心理学を提唱。
シュプランガ−・・・ディルタイの学説をひく了解心理学をなす。生の諸形式(1914)で人間を@理論的人間A審美的人間B権力的人間C経済的人間D社会的人間E宗教的人間の6つに類型化した。
スキナー・・・アメリカの代表的新行動主義の心理学者。行動をオペラント行動とレスポンデント行動の2つに分類し、それを学習に応用したのがプログラム学習である。ネズミを使う学習実験装置スキナー箱を発明。
スティーヴンス・・・フェヒナーの弁別閾を用いた測定方法に疑問を抱き、マグニチュード推定法とよばれる手法を用いて、スティーヴンスの(ベキ)法則を導いた。
スピアマン・・・知能の構造の研究を行い、因子分析を開発。G因子とS因子の2因子説を唱える。
ソーンダイク・・・「教育心理学の父」といわれているアメリカの心理学者。動物を使って学習の研究を行い、学習が試行錯誤の過程をとるとして、効果の法則、練習の法則、準備の法則の3法則を主張し、試行錯誤説を唱える。
ターマン・・・ビネー・シモン式知能検査を改良し、スタンフォード・ビネー知能検査を作成した。この検査を用いての優秀児の追跡調査は有名。
ティチェナ−・・・ヴントのもとで心理学を学び、構成主義的な心理学を展開した。ティチェナ−は意識内容のみを問題にする立場を徹底させ、要素が結合して統一的な全体が現れることは、意識レベルでは説明がつかず、生理レベルも問題にする必要があると考えた。
デューイ・・・デューイらはまとめてシカゴ学派と呼ばれる。彼らは生活体が環境に適応するという機能を研究対象にすることを明らかにした。
トールマン・・・アメリカの新行動主義心理学者。動機づけや学習の研究は有名。学習は、認知された対象間の相互関係、手段ー目的関係が認知されていく過程とするサイン・ゲシュタルト説を唱えた。
パヴロフ・・・大脳生理学の立場から、犬を用いた唾液の条件反射の研究を行い、条件反射学の成立に貢献した。
ピアジェ・・・児童心理学を研究。幼児にみられる特質に自己中心性を唱え、幼児のもつ世界観として、外物を人間がつくったとする人工論、無生物にも生命があるとみるアニミズム等とあげ、さらに発達を、前操作、具体的操作、抽象的操作の諸段階に分類するなど認識発生の実証的研究を行い、発生的認識論の学派を築いた。
ビネー・・・知的障害児の研究で、医学者シモンの協力により、1905年に世界最初の知能検査であるビネー・シモン式知能検査を創始した。
フェヒナー・・・その著書「精神物理学」(1860)のなかで、感覚が等差的に増加するためには刺激強度が等比級的に増加する必要があるという、フェヒナーの法則を提唱した。
フロイト・・・精神分析学の創始者で、深層心理学の体系と神経症治療の技法を開発した。人間の本能的な欲動をリビドーとし重視した。人間の心的構造をイド、エゴ、スーパーエゴの3つの領域に分けた。「夢判断」などを著す。
マレー・・・投影法の代表的検査法であるTATをモーガンとともに創案した。絵画統覚検査または主題構成検査ともいい、絵を被験者に見せて自由に物語をつくらせ、欲求、葛藤等の心の内面を分析して性格を検査する。
ミューラー・・・1830年代に特殊神経エネルギー説を提唱。心に生じる感覚、もっといえば感覚様相は、神経が何によって刺激されたかではなく、どの神経が興奮したかによって決まるとした。例えば、40〜50度で皮膚の冷点を刺激しても、温覚ではなく冷覚が感じられる。(矛盾冷覚)
モレノ・・・集団内の心理的相互作用や構造から分析して、選択と排斥という対人関係の中から個人の位置を探ろうとする社会測定法である、ソシオメトリーの創始者。
ユング・・・元はフロイトの弟子であったが、人間の本能的欲動より心的エネルギー論を展開した学者。リビドーをその指向方向により無意識と意識の性格にわけた。
レヴィン・・・ケーラーとともにゲシュタルト心理学の確立に貢献。B=f(P,E)の公式として場の理論を提唱し、人間の行動は個人と環境の相互規定的な関数としてとらえた。
ロジャーズ・・・非指示的カウンセリング・来談者中心療法という独自の療法を創案した。カウンセリングとは違い、来談者自らが自己理解し、自己実現への意欲を起こさせるようにしようとする治療法。
ロールシャッハ・・・投影法の1つであるロールシャッハテストの創始者。左右対称のインクのしみの図柄を見せ、それが何に見えるか被験者に質問し、個人の要求、動機、葛藤等を診断する性格検査。
ワトソン・・・行動主義心理学を提唱し、客観的な刺激(S)とその反応行動(R)を観察し、刺激を知って反応を予測したり、逆に、反応を知って刺激を予想する心理の科学的法則化を試みた。長くアメリカ心理学を支配し、トールマン、ハル等に継承された。